「私の話2019」

私小説です。

 闇の中から意識が浮き上がってくる。

外では人々が活動する音が聞こえ、もう、いい時間であることが伺える。しかし、起きようと必死に身体を動かそうとするが動かない。意識で抗えるものならいいが、眠いわけでも億劫なわけでもない。どう足掻こうが夜も付けたままの腕時計すら見ることができない。そのときの感覚というのは焦りではなく恐怖だ。悪い事態ばかりを想定し、今、地震があったら死ぬだろうと思う。そう思いながら、それもいいなと思う。

 それから、数度、意識を失い、最終的に起きたのは午後四時だった。薄い意識と戦いながら、それでも何か口にしなくてはならないと思い、部屋着のまま、やっとの思いで自宅マンションの一階にあるコンビニへ行く。それを、一日中、玄関の前でブラブラしているマンションの自治会長がジロリと私を射すくめて壁に追いやり、文字通り「ヒヒヒ」と笑う。「どうせ服も着替えず部屋でゴロゴロしているんだろう、飯も作っていないんだろう」と言う。

 自分の努力が何かの成果を生まなくても、誰かに頑張っているねと言われるだけで報われる気がする。そして、自分の人生には、つくづく、それがなかったなと思う。毎日の苦しさに加え、精神に障害を負うまで努力を否定され続け、障害を負って何もできなくなったら障害を負ったことさえも非難される、もう、そんな人生にはうんざりだった。うんざりしながらも、それを諦め切れない自分がいる。